猫ちゃんの腎臓病の新薬:名前を公募するそうです!

病気のお話

ノアアニマルクリニック 前谷です。

先日、猫ちゃんの腎臓病についてのブログを書きました。ずいぶんと間が空いてしまいましたが、表題のようにとても面白いニュースがありましたので、久々に猫ちゃんの慢性腎臓病ブログの続きを書きたいと思います。

猫ちゃんに腎臓の病気が多いことは、猫飼いの方は皆さんご存じですが、なぜ?猫ちゃんばかりが腎臓の病気が多いのでしょうか?

例えば、ワンちゃんの腎臓病の発症率がおおよそ10頭に1頭と言われるのに対し、猫ちゃんでは3頭に1頭が腎臓の病気を発症すると言われます。

その原因を探ると、猫ちゃんの祖先は元々砂漠で生活していたため、あまり水を飲まなくても腎臓が極限まで尿を濃くして水分を体の中に留めることができるように発達してきました。

そのため、尿が濃くなることで、膀胱炎や尿路結石による血尿・頻尿症状なども当然多くなります。

それに加えて、猫の体内では、体内のゴミ(老廃物)を排除するために必要なAIMというたんぱく質がうまく機能しないことが日本の研究者により発見され、ダメージを受けた腎臓を修復することができずに高率に慢性腎臓病へと進んでしまうことが分かりました。

この研究により、どうして猫ちゃんばかりがこんなに腎臓病になるんだろうか?という謎が解明され、それに対する治療薬(:AIMタンパクを注射として直接投与する)が開発されつつあります。 → ※詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

臨床治験も終盤にさしかかっているようで、2027年春頃の承認を目指すとのことですが、私ども獣医師の立場からすると、どの段階でどのように使用するのか?だったり、静脈内投与(血管の中に注射する)の薬となりそうなので、どのくらいの頻度で投与するのか?などが気になるところです。

日本の技術により、世界中のたくさんの猫ちゃんが救われることを切に願っております。

最後に表題の件ですが、開発者の宮崎徹先生は、「たくさんの方の応援により作ってきた薬なので、薬の名前も猫オーナーの皆さんと一緒に決めたい」とのことで、なんと!!薬名を一般公募で募集するそうです!

驚きましたが、とても面白い試みですね~

我こそは!という方は、『世界中の猫ちゃんを救うかもしれない待望の新薬』の名付け親に立候補されてみてはいかがでしょうか? (^ ^)/

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