ノアアニマルクリニック 前谷です。
本日は、以前から猫ちゃんの慢性腎臓病(CKD)のお話をしてきましたが、その進行を抑えるお薬のお話をしたいと思います。
以前のブログでは、猫ちゃんの腎臓の病気は、一度進行したら元には戻せないこと。そのため、いかに早い段階で見つけて早く治療開始することが非常に大切!ということをお伝えしました。
進行した状態であれば頻繁に点滴に通うことになる病気です。
しかしながら早期の段階で見つかると、腎臓用の療法食に切り替えたり、あるいは進行を抑えるお薬を飲ませることで、元気に過ごせる時間を長く確保してあげられるので、なんとかそこで見つけたい病気ですね。
腎臓用のフードや点滴は、もちろんすごく大切な治療です。
腎臓用のフードは、血液検査での老廃物(BUNやリン)が上がらないように、食事中のタンパク質(BUNの上がる原因となる)やリンをカットして作ってあります。
それを食べることで、タンパクやリンを体に入れないようにしていき、なおかつ点滴して外に出すようにすることで腎臓の数値が悪化しないように治療していきます。
別の観点で見ると、腎臓そのものに対しての治療は?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
食事や点滴で数値が悪化しないように気を付けながら、腎臓そのものに働きかけて腎臓のダメージが進行しないように出来たら良いなと考えますよね。
その点でよく推奨している薬が『ラプロス』ですね。

ラプロスは日本の東レで開発されたお薬で、すでに長年にわたり猫ちゃんの慢性腎臓病に処方されてきた実績があります。
腎臓の中のネフロンという小さな構造の中で、血管にダメージが起こり機能が衰えて死んでしまった組織が線維組織に置き換えられて行きます。これを「線維化」と呼ぶのですが、ラプロスは、この部分に働きかけ線維化を防ぐことで腎臓のダメージが進行するのを抑えてくれます。
臨床試験では、半年間の試験で、ラプロスを飲ませた子たちは腎臓の数値の悪化を防いでくれたという結果でした。それに加えて、QOL(生活の質)を改善するデータも出ていて、飲ませた子たちの方が食欲や元気、体重などの項目が維持できたという結果もあるのですごい薬です。
実際に、飲ませてる猫ちゃんでは、クレアチニンの数値が下がってステージが一つ下がった子もいたりしますので、とても良いお薬だと評価しております。
残念ながら、7月から値上がりとなってしまったのですが、とても良いお薬なので、錠剤で飲ませることが出来るよ!という猫ちゃんにはぜひオススメしますね。
もう一つ、おしっこの中にタンパク尿が出る子には、別の『セミントラ』というお薬の方をお勧めする場合もあります。

セミントラは、液体タイプのお薬で、腎臓の糸球体という場所で炎症が起きたりタンパク尿が出るのを防ぐお薬です。また、高血圧にも効くお薬ですので、例えばおしっこ検査で尿蛋白が出た子であれば、こちらをまず投薬することを推奨しますね。
尿蛋白を数値化して評価できる検査で、「尿タンパククレアチニン比(UPC)」という外注検査があるのですが、UPCが0.2を超えると慢性腎臓病の猫ちゃんの予後(生存期間:これからどれくらい生きられるか?)が悪化するというデータがありますので、尿蛋白が出てる子はこちらがオススメですね。
最後に、皆さんが期待されている新薬についてですね。以前のブログで、新薬の名前を公募していることをお伝えしてましたが、名前は『FeliAIM(フェリエイム)』に決まりました!
今年の春に、農林水産省に動物薬としての承認を行った段階なので、まだまだ実用化には時間が掛かりそうですね。試験の段階では2週間に1回静脈内点滴で投与しているようなので、そのあたりの投与方法や費用がどうなるか?がカギになりそうです。
これまでのお薬を超える効果のある画期的な製品として販売承認されることを私も願って待ちたいと思います。
簡単に書いてきましたが、猫ちゃんの腎臓病が心配だなという方には、さらにもっと早い段階からできることもありますので、一度ご相談いただきたいなと思います。

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